A.火災保険契約が賃貸借契約締結の条件になっています。

 最高裁判所の判例によりますと、アパートの賃借人は、賃貸人に対して、貸室を善良なる管理者の注意をもって保管しなければならない義務を負っています。失火によりアパートの一部を焼失させる被害を与えることは、賃借人としての目的物保管義務と目的物返還義務という債務の履行を怠ったことになります。

 したがって、「『失火ノ責任ニ関スル法律』は債務不履行による損害賠償については適用がなく、失火によって賃借家屋を焼失させた賃借人は、重大な過失がなくても賃借物返還義務の履行不能による責任を免れない」(最高裁昭和30年3月25日判決)としていますので、賃貸人は賃借人に対して火災による損害賠償を請求できることになります。

 こうした債務不履行責任(原状回復義務の履行)に対応するため、賃借人は火災保険契約をしなければならないのです。

 この火災保険には債務不履行責任に対応する補償で『借家人賠償責任補償』と、第3者への損害賠償責任を補償する『個人賠償責任補償』の特約があります。この2つの補償は主契約である火災保険に付けられるオプションとなります。借家人賠償責任補償の金額は物件や管理会社、所有者によって異なりますので、確認の上、契約してください。

 また、隣室や隣家からのもらい火事についても、同様のことが言えます。日本では失火責任法があり、原則として火元への損害賠償請求ができません。そのため、もらい火事であっても、賃貸人から損害賠償請求されるということになります。リスクが高いので、火災保険は必ず加入しましょう。